数字で見る卓球のスピード感
「卓球のスピード感ってすごいね」
というのはよく聞く感想だと思います。
ここまで人気が出る前から、卓球の放送を見た多くの人に言われました。
本当にその通りです。
詳しくは後述しますが、
・世界のNo.1は野球でいうところの160km/h前後で打ち合っているし
・世界のトップ選手が本気で打ったドライブは「消える」そうです
ですから、スピード感に驚くのは当然の事と言えます。
今回は、そのスピード感をもっとわかりやすく比べるべく、
世界選手権2017の男子決勝の数字をもとに計算してみました
計算方法は以下の通り
“ 距離÷表示速度を秒速に直したもの ”
※距離について
①野球
マウンドからホームベースまでの距離(18.44m)
②卓球
エンドラインの距離(2.74m)+台から選手の距離
すると分かったのは
「世界選手権の男子シングルス決勝のラリーというのは、野球だったら160km/h前後の球が飛び交っているようなもの」
ということでした。
以下は計算した時の表です。
時速(m) | 秒速(m) | 距離(m) | 到達時間(秒) | |
野球 | 160,000.000 | 44.444 | 18.440 | 0.415 |
150,000.000 | 41.667 | 18.440 | 0.443 | |
140,000.000 | 38.889 | 18.440 | 0.474 | |
130,000.000 | 36.111 | 18.440 | 0.511 | |
120,000.000 | 33.333 | 18.440 | 0.553 | |
時速(m) | 秒速(m) | 距離(m) | 到達時間(秒) | |
卓球 | 42,000.000 | 11.667 | 4.740 | 0.406 |
42,000.000 | 11.667 | 5.740 | 0.492 | |
42,000.000 | 11.667 | 6.740 | 0.578 | |
39,000.000 | 10.833 | 4.740 | 0.438 | |
39,000.000 | 10.833 | 5.740 | 0.530 | |
39,000.000 | 10.833 | 6.740 | 0.622 |
※世界選手権2017男子決勝でのAVERAGE SHOT SPEED
樊振東選手42km/h、馬龍選手39km/h
スマッシュやカウンタードライブが決まった際に75km/h前後の表示が出ますが
その場合には先ほどの単純計算で
到達までの時間 0.18秒
※お互いが台から50cmにいる場合
反応の限界を超えています。
大学の時に、御内選手(シチズン時計)から聞いた話を思い出し、確認したところ
元オリンピックチャンピオンの柳承敏選手と練習をした時のことを
「ドライブでボール消された」
と表現していました。
笠原選手(協和発酵キリン)も許昕選手と方博選手にボールを消されたそうです。
今回は卓球のスピード感を、数字を使ってイメージしていただきました。
もちろん、もっと詰めて検証すべき部分は多くあります
たとえば
野球を贔屓目に見れば
・野球と卓球ではボールの減速度が違う
・野球はマウンドから大きく踏み出して、体より前でリリースしている
といった意見があると思いますし
卓球を贔屓目に見れば
・卓球は体の前で打つ打球が多い上、台の上での技術が多い
などがあります。
このあたりは是非、専門の方にご意見をいただきたいところでもあります。
同時に、このブログをご覧になっていただいた皆様にご理解頂きたいのは
卓球と野球の競技レベルや奥深さなどは比較できるものではなく、
このブログの趣旨も、
「卓球を他の競技と比較して、より多くの人にイメージしやすくする」
ということです。
スポーツに優劣をつけることは目的としておりません。
卓球教育研究所では、より良い情報提供のためにご意見を募集しております。
特に、今回の記事などはより専門的な知見や、高度な測定による検証をしていただける方がいらっしゃれば嬉しいです。
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織部隆宏
ITS三鷹卓球クラブURL